MEEQの詳しい説明や料金プラン、各種オプションなどについて知りたい方はこちらから説明資料をご確認ください。
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介護現場において「おむつ交換」は、毎日行われる業務のひとつです。たとえば50人の施設で一人あたり1日6回おむつ交換する場合、合計で1日300回はおむつ交換業務が行われます。しかし、そのうちの20-30%は、おむつを開けても尿や便が無い“空振り”となってしまうそうです。
さらに、尿や便がおむつの外まで漏れると、衣服やシーツの交換も必要となり、通常の10倍以上の時間がかかってしまうそう。このように「排泄ケア」は、介護業界において「デリケートで重く深い課題」とも言えるものです。
このような課題を解決するために開発されたのが「Helppad(ヘルプパッド)」。ベッドに敷くシート型の排泄センサーが、においを検知し、排尿や排便があったことをPCやスマホに知らせます。その通信のために使われているのが『MEEQ SIM』です。どのような仕組みになっているのか、株式会社abaの代表取締役CEO・宇井吉美さん、CTO・谷本和城さん、技術開発部プロジェクトマネージャー・小林斗志樹さんに話を伺いました。
株式会社aba 代表取締役CEO 宇井吉美さん
「Helppad2」には3箇所のセンサー部が存在しており、各箇所に「においセンサー」が搭載されています。においセンサーは人の鼻のように排泄臭に反応し、その反応傾向からAIによって尿と便を識別(推定)して通知する仕組みになっています。判別を行うAIは、前モデルである「Helppad」(以降は「Helppad1」)以前から7年かけ収集した約16万の排泄データを用いて学習しているそうです。
「かつては、おむつを開けるまでは、中で何が起きているか分かりませんでした。Helppad1では、排泄のにおいを感知し、排泄の有無をPCやスマホに知らせることができるようになりました。さらに、Helppad2では排泄の有無に加えて、排泄の種類(尿・便)も推定できるようになりました。おかげで従来は排泄の有無と関係なく、決まった時間におむつ交換をせざるを得なかったのが、必要なときに必要なおむつ交換をする選択肢が広がりました。さらにデータが蓄積されると、排泄パターンを推測する助けにもなります」(宇井さん)
Helppad2は、現行の介護ハードウェアでは珍しいサブスクモデルを採用しています。マットやカバーを定期交換し、CS(カスタマーサクセス)で利用支援も行っているそう。
「ずっと介護ロボットを作ってきて思うのですが、作って終わりではなくて、導入されてからが始まりなんですよね。利用支援は、きちんと現場で使っていただきたいというabaの想いの意思表示です」(宇井さん)
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Helppad2に採用されているのが『MEEQ
SIM』で、LTE通信でデータを送受信しています。前のモデルのHelppad1ではSub-GHzの920MHz帯を使っていて、介護施設にゲートウェイを設置しリピーターを通し動作をしていました。その理由には、介護施設特有の構造にあるそうです。
「壁の中にメタルトラスが入っていたり、防火壁がかなり分厚かったりと、920MHz帯を使っても電波が届かない。そのため、Helppad2からはLTE回線を使うようにしています。ただし、電波状況は各施設によってまちまちです。Helppad2では、そういった状況にも対応が可能なSIMを探していました」(谷本さん)
Helppad2は、2021年に仕様がある程度確定し、これから開発が始まる段階でした。3キャリア使えるSIMを探していたところ、ちょうど『MEEQ
SIM』がサービスイン(2021年3月)したタイミングだったといいます。そこから約3年弱が経ち、Helppad2に実装されることになりました。
「我々の場合、回線速度は速い必要がなく、16kbpsや32kbpsで繋ぎっぱなしになれば十分でした。相見積もりを取った5~6社の通信会社さんには、必ずそうした用途のプランを作れないかお願いしてみました。それに対して、MEEQさんの反応がびっくりするくらい速かったというのが私の印象です。プランの価格、営業対応の速さ、コンソールの使用感も含めて、どの方向から見ても、その提案に勝てる通信会社が無かった」(谷本さん)
Helppad2(試作機)では、他社のSIMも使用。その際は回線購入や管理がメールや電話でしかできず制約が多かったそう。さらに、業務用回線のためバルク買いが必須だったり、一度発行したSIMを停止するのも手続きが煩雑だったりと、不便さを感じていたとのこと。『MEEQ
SIM』を使い始めると、そうした回線購入や利用停止の手続きなども、オンライン上のコンソールで可能に。SIMの発注もコンソールで完結し、最短3日で納品できるなど使いやすく、フレキシブルに対応できるのが良かったと言います。
「注文をしやすいというのはありますね。あとはどの施設でどのSIMを使っているかも、通信量も含め管理しやすい。さらに製品として使っているSIMと、abaで使っているSIMのグループ管理もしやすく、全体的にコンソールの中でSIMの利用状況管理がしやすいのが良いなと思っています」(小林さん)
さらに、Helppad2では閉域網を採用しています。デバイス自体もhttps通信で暗号化しており、高いセキュリティで情報を守っていますが、閉域網でより高い安全性を保つようにしています。これにより、Helppad2を導入する施設側も、安心して活用していただくことができます。
「端末から通信される排泄のにおいのデータは、当社のサーバー上でしか個人情報とは紐づいていないのですが、当初の設計から閉域網を使う前提でした。デバイス自体も暗号通信をしていますし、それでもセキュリティ面は十分満たしているのですが、プライバシーを気にされるお客様が多いので、よりお客様の不安を減らし安心して使っていただくために閉域網で、というのは最初から決めていました」(谷本さん)
経済産業省の公表したデータによると、介護を必要とする要介護(要支援)認定者の将来推計は、2025年で約815万人、2030年で約900万人と予測されています。それに伴い、介護従事者の不足人数は2025年で32万人、2035年に68万人になると試算されています。世界に目を向けると、2020年時点で何らかの形で介護に携わっている人は約9億人にのぼるそう(国連人口基金(UNFPA)「世界人口白書2020」/IACO「Global State of Caring」より算出)。
Helppad2は2023年10月に発売開始しましたが、その時点で200台以上の予約がありました。国内のみならず、シンガポールやオーストラリア、ノルウェーといった海外の介護施設からも問い合わせがあるそう。
「たとえばオーストラリアでも、今年の7月から法律が厳しくなるそうです。すごくざっくり言うと、皮膚トラブルを減らすように排泄ケアの管理を義務付けられると聞いています。高齢化で健康寿命を延ばそう、予防しようという面も進んではいるのですが、どうしてもおむつは手放せないというところがあります」(宇井さん)
世界中からデータが集まればAIの精度向上にもつながり、介護者の負担を軽減しながら、個別ケアや“予測の介護”も実現できそうです。
「abaは排泄を基軸とした介護DXに取り組みたいです。排泄は生活の土台だと考えているので排泄情報だけでなく、投薬や水分・食事量、睡眠時間などの生活情報も活用し、入居者さんにとっては生活全体を良くすることが可能です。また、介護職さんにとっては介護業務全体の最適化にもつなげることが可能となります。今後もabaの排泄センサーを持っているからこそできる介護DXの提案を現場の方々にしていきたいですし、できると確信しています」(宇井さん)
「人類総介護時代」には、介護をする側もされる側もQOLの向上が求められます。排泄は人間が生きていく限り欠かせない行動であるだけに、その部分の最適化やDXは介護に携わる人にとって大きな助けになるはず。大きな課題解決にチャレンジしている「Helppad2」を、『MEEQ SIM』はこれからも通信面でサポートしていきます。
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プロジェクト担当者部署・役職:代表取締役CEO 宇井吉美さん、取締役CTO 谷本和城さん、技術開発部 プロジェクトマネージャー 小林斗志樹さん
株式会社abaウェブサイト:
https://www.aba-lab.com/
Helppad2製品サイト:
https://helppad.jp/helppad2