コラム

LTEルーターで屋内外問わずネットワーク構築!具体的な活用例や選び方を紹介

2024.04.25

ネットワーク

LTEルーターを使用すれば、固定回線がなくても周辺機器を手軽にインターネット接続・拠点間接続できます。

屋外や移動体などの固定回線が引きにくい環境で通信をしたい場合、LTEルーターが有用な選択肢となってきます。例えば、IoT機器の導入をお考えならば、回線の開通工事なしに手軽にIoT用の通信を用意できるので、一度検討してみる価値があるでしょう。

そこで本記事では、LTEルーターの導入を考えている方に向けて、LTEルーターの基礎知識や活用事例、選ぶ際のポイントを解説します。製品例も紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。

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LTEルーターとは

LTEとは、モバイル専用の通信規格の一つで、Long Term Evolution(ロングタームエボリューション) の頭文字からLTEと呼ばれています。国際電気通信連合がLTEを4Gと認めたことから、「LTE=4G」として取り扱われ、広く認知されています。
上記のLTE通信を利用したネットワークのルーターのことをLTEルーターと呼びます。

LTEルーターの特徴

LTEルーターは、ネットワークへの接続にLTE回線が使われています。LTEルーターを使用する場合には、あらかじめ利用登録をしてあるSIMカードが必要になります。

LTEルーターのなかには、屋外に設置できるものもあり、直射日光が当たる場所でも対応できるように動作温度が幅広く、防塵・防水性能も備えています。高速通信が可能なため、屋外に設置することで防犯カメラシステムに良く用いられます。

LTEルーターを使用するメリット

LTEルーターは、スマートフォン(4G)が利用できるエリアであれば使用できるため、屋外・屋内問わずさまざまな場所で広く電波を受信できるという利点があります。

固定回線のように開通工事をする必要がないため、契約後すぐにインターネットを利用でき、移動体での通信も可能です。

複数のSIMが挿入可能なルーターであれば、一つの回線の不調に左右されることがないため、より安定した通信環境を得られます。

LTEルーターの活用例

前述したように、LTEルーターは有線の回線を引く工事が不要なため、屋外で使いやすい点が特徴です。屋外のさまざまな場所でLTEルーターの導入が進んでいますが、どのような場面で役立っているのか、具体例を紹介します。

活用シーン 活用するメリット
ハウス栽培の管理 ハウス内の温度や湿度をセンサーで感知し、
データを本部ルーターに送信することで、
リモートでの監視が可能
防犯カメラ 配線が難しい場所でもデータの受信が可能
自動車内でのインターネット利用 移動しながらの車内でも通信が可能

ハウス栽培の管理

ビニールハウスと自宅や会社とを繋ぐネットワークの構成図

ハウス内に温度や湿度を感知するIoTセンサーを設置し、LTEルーターを経由して計測データを送信することで、自宅や外出先からでもハウス内の状況がわかります。

温度や湿度、土壌の水分量などを効率的に管理でき、すぐにハウス内を確認できない時や気象状況が安定しない季節には、大いに役立つでしょう。

防犯カメラ

防犯カメラとPC等デバイスとを繋ぐネットワークの構成図

固定回線を必要としないLTEルーターは、防犯カメラに利用できます。カメラでの監視状況をネットワークを経由してスマートフォンやパソコンで視聴することが可能です。

カメラ本体の操作や設置している場所に行かなくても、撮影範囲の状況を確認できるため、インシデント対応の迅速化や工数削減に役立ちます。

自動車内でのインターネット利用

LTEルーターは配線を必要としないため、自動車のような移動体でもインターネットを利用できます。
バスやタクシーなどの交通機関において、車内Wi-Fiや、デジタルサイネージ、位置情報を活用した到着時刻の共有システム、決済端末用のネットワークとして活用できます。
自家用車を含む活用例としては、ソフトウェアアップデート、OBD2経由による利用状況の把握や故障予兆検知システム用のネットワークも挙げられます。

LTEルーターの選び方

LTEルーターの選び方

LTEルーターを選ぶ際は対応キャリア、SIMサイズやスロット数、耐環境性能などを確認しましょう。それぞれ詳しく解説します。

対応しているキャリア

安定した通信速度を重視しているのであれば、LTEルーターの対応キャリアをチェックしましょう。複数キャリアに対応可能な場合は、LTE回線を使えるエリアが広がります。

キャリアが提供しているルーターは、あらかじめキャリアが指定されている場合があるため注意が必要です。

対応しているSIMサイズ

LTEルーターによっては、標準SIM(miniSIM)、microSIM、nanoSIMなど、対応しているSIMカードが異なるため、どのサイズに対応しているのか確認しましょう。

SIMサイズが不明の場合は、3in1 SIMを選択すると良いでしょう。3in1 SIMは任意のサイズにカットして利用できるため、1つのカードで標準SIM(miniSIM)、microSIM、nanoSIM全てに対応できます。

SIMのスロット数

SIMスロットとは、SIMカードを利用してルーターを使う際に、SIMカードを差し込む挿入口のことです。SIMにはサイズがあるため、SIMスロットにもそれぞれサイズがあり、一つの機器に複数のスロットが搭載されているものもあります。

通信障害に備えて、モバイルネットワーク回線の冗長化が必要な場合は、SIMスロットの数が多いLTEルーターを選ぶと良いでしょう。複数のキャリアのSIMを利用していると、一つのキャリアに通信障害が発生した場合でも、自動的に他社キャリアの回線に切り替えられます。

そのため、スロット数が複数あると、マルチキャリアでの利用が可能となり、通信障害時の耐障害性を向上させることが出来ます。

耐環境性能

固定回線が不要なLTEルーターは、屋外で使用されることも多いため、高温・低温でも問題なく動作できるものでなければなりません。耐環境試験が行われたものや車内環境にも対応可能なものなどがあるため、購入の際は確認してください。

また、LTEルーターが直接外気に触れるようであれば、防塵や防湿機能も完備されたものであるとなお良いでしょう。

産業用のルーターは、外部環境への耐久性に加え、医療や交通関係などの重要な設備に影響を与えてしまわないように、高性能に作られているものも多いため、選ぶときには産業用として製造されたものであるのか確認してみましょう。

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LTEルーターのメーカーと製品例

LTEルーターの例をご紹介します。LTEルーターによって、対応しているSIMサイズやキャリアが異なるため、選ぶ際には注意が必要です。

選択時に注目すべき項目を、商品ごとにまとめているので、参考にしてください。

メーカー 株式会社ミオ・コーポレーション 株式会社アイ・オー・データ機器 株式会社 日立産機システム Peplink社 Lantronix Inc.
商品名(型番) TC710 UD-LT2 CPTrans-MJW MAX BR2 Pro E218G107S
無線LAN IEEE802.11ac/a/b/g/n IEEE802.11n、
IEEE802.11g、
IEEE802.11b
IEEE802.11b/g/n/a/ac
(アクセスポイントのみ対応)
IEEE802.11ac/a/b/g/n Wi-Fi 1T1R
(WiFi 4)
LANポート IEEE802.3(10BASE-T)/
IEEE802.3u(100BASE-TX)
IEEE802.3u(100BASE-TX)、
IEEE802.3i(10BASE-T)
Ethernet、RJ-45 GbE LAN ×4,
2.5GbE WAN ×2
Ethernet ×2
(LAN/WAN 又は LAN x 2)
対応キャリア NTTドコモ・KDDI・
Softbank
NTTドコモ・KDDI・
Softbank・楽天モバイル
NTTドコモ・KDDI・
Softbank
日本国内キャリアと互換性あり NTTドコモ・KDDI
SIMスロット microSIM×1 SIM×1 microSIM×1 nano SIM× 4 miniSIM×2
本体サイズ 108.9×110.5×21.5 mm 約100×99×23mm 80×80×28.8mm 218x195x29.5mm 92.5x57.2x22.5mm
重量 約170g 約260g 109g 1,100g 150g
動作環境 温度-20℃〜60℃・
湿度10%~90%
温度-20℃〜60℃・
湿度10%~90%(結露なきこと)
温度-20℃〜60℃・
湿度20%~90%
温度-40℃〜65℃・
湿度15%〜95%
温度-20℃~70℃・
湿度~95%RH
電源仕様 DC12 V± 5% ACアダプターより供給 DC5V 〜 DC24V DC10 〜 30V 8.0V~32VDC

株式会社ミオ・コーポレーション「TC710」

「TC710」には、LTE通信専用の外部アンテナが付いており、内部アンテナ付きの製品に比べて電波強度が強いため、安定した通信環境を整えられます。

バッテリーは搭載していないため、低温・高温にも強く、長時間利用が可能です。
無線LAN規格のなかでは安全性の高いWPA2を使用しているため、セキュリティー面から見ても優れた商品です。

メーカー名 株式会社ミオ・コーポレーション
商品名(型番) TC710
無線LAN IEEE802.11ac/a/b/g/n
LANポート IEEE802.3(10BASE-T)/
IEEE802.3u(100BASE-TX)
対応キャリア NTTドコモ・KDDI・
Softbank
SIMスロット microSIM×1
本体サイズ 108.9×110.5×21.5 mm
重量 約170g
動作環境 温度-20℃〜60℃・
湿度10%~90%
電源仕様 DC12 V± 5%
ホームページ https://www.mio-corp.co.jp/

株式会社アイ・オー・データ機器「UD-LT2」

「UD-LT2」は、NTTドコモ、KDDI、Softbank、楽天モバイルの大手キャリア4社に対応しているLTEルーターです。
リンクバックアップにより回線の冗長化ができ、安定した通信を継続できます。また、動作環境の範囲も広く、温度変化の大きい屋内でも使用が可能です。

メーカー名 株式会社アイ・オー・データ機器
商品名(型番) UD-LT2
無線LAN IEEE802.11n、IEEE802.11g、
IEEE802.11b
LANポート IEEE802.3u(100BASE-TX)、
IEEE802.3i(10BASE-T)
対応キャリア NTTドコモ・KDDI・
Softbank・楽天モバイル
SIMスロット SIM×1
本体サイズ 約100×99×23mm
重量 約260g
動作環境 温度-20℃〜60℃・
湿度10%~90%(結露なきこと)
電源仕様 ACアダプターより供給
ホームページ https://www.iodata.jp/product/lan/appliance/ud-lt2/index.htm

株式会社 日立産機システム「CPTrans-MJW」

「CPTrans-MJW」は産業用の無線ルーターで、主に装置の遠隔監視用に使用されています。

自己監視機能を搭載しているため安定した通信が可能です。DINレールと呼ばれる制御盤内で使われるレールにも取り付けられるよう、産業機器への組み込みを意識した構造になっています。

メーカー名 株式会社 日立産機システム
商品名(型番) CPTrans-MJW
無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac
(アクセスポイントのみ対応)
LANポート Ethernet、RJ-45
対応キャリア NTTドコモ・KDDI・
Softbank
SIMスロット microSIM×1
本体サイズ 80×80×28.8mm
重量 109g
動作環境 温度-20℃〜60℃・
湿度20%~90%
電源仕様 DC5V 〜 DC24V
ホームページ https://www.hitachi-ies.co.jp/

Peplink社「MAX BR2 Pro」

「MAX BR2 Pro」は、デュアル 5G/LTE接続やWi-Fi 6、PoE 入力に対応しているため、接続が切れにくい通信を実現しています。1本のケーブルで電源とデータの両方を使用可能です。

-40〜65度までの幅広い温度にも対応しています。Molex Micro-Fit 電源コネクタを使用して、モバイル環境でも電源を確保できます。
FCC認証/CEマークを取得しているので海外でのご利用をご検討の方におすすめです。日本のキャリアとの互換性が確認済みですが、2024年4月25日現在で日本の電波法認証は未取得のため、ご注意ください。

メーカー名 Peplink社
商品名(型番) MAX BR2 Pro
無線LAN IEEE802.11ac/a/b/g/n
LANポート GbE LAN ×4,
2.5GbE WAN ×2
対応キャリア 日本国内キャリアと互換性あり
SIMスロット nano SIM× 4
本体サイズ 218x195x29.5mm
重量 1,100g
動作環境 温度-40℃〜65℃・
湿度15%〜95%
電源仕様 DC10 〜 30V
ホームページ https://www.peplink.com/products/mobile-routers/max-br2-pro/

Lantronix Inc. 「E218G107S」

Lantronix Inc.(ラントロニクス)は、モデム、ルーター、GPSトラッカー等を取り扱っている米国 カリフォルニア州アーバイン市に本社を置くメーカーです。
E218シリーズは、LTE cat.4、GNSS、WAN、LAN、Wi-Fi接続を備えた 信頼性が高い産業用途のルーターです。

メーカー名 Lantronix Inc.
商品名(型番) E218G107S
無線LAN Wi-Fi 1T1R (WiFi 4)
LANポート Ethernet ×2
(LAN/WAN 又は LAN x 2)
対応キャリア NTTドコモ・KDDI
SIMスロット miniSIM×2
本体サイズ 92.5x57.2x22.5mm
重量 150g
動作環境 温度-20℃~70℃・
湿度~95%RH
電源仕様 8.0V~32VDC
ホームページ https://www.lantronix.com/products-class/industrial-routers/

MEEQ SIMでの動作確認済みルーターは下記をご覧ください。
MEEQ SIM動作確認済みデバイス一覧

LTEルーターに必要なSIMの基本情報

LTEルーターは、本体を購入するだけではネットワークにはつなげられません。固定回線が不要な点はLTEルーターを使用するメリットでもありますが、その分LTEルーターでネットワークを使用するには、SIMカードが必要です。

SIMカードにも種類があるため、それぞれのルーターに対応したものを選ぶことが大切です。詳しく解説します。

SIMとは

SIMとは、「Subscriber Identity Module」の略称で、カードの形をしていることが多いために、一般的には「SIMカード」と呼ばれています。

SIMカードには、通信事業者と通信回線を使用する契約者の情報が記録されているため、情報を基にして通信事業者によって通信認証が行われ、通信使用量に応じて課金されていく仕組みになっています。

SIMカードがなければモバイル通信回線を使ったデータ通信が使えないため、パソコンやスマートフォンを利用するときはSIMカードが欠かせません。LTEルーターも、LTE回線を使用するためにSIMカードを挿入し、通信設定を行う必要があります。

※eSIM対応のルーターやSIM組み込み型ルーターなど、物理的なSIMカードの準備が不要な場合もあります。

SIMを選ぶ際のポイント

まず、目的に合った契約プランのSIMを選ぶようにしましょう。契約料金とは別に、別途で月額料金が発生するものが一般的ですが、各社さまざまな契約プランを用意しています。通信量や通信速度などが産業用に対応しているものもあるため、それぞれのプランを比較して検討しましょう。

プランを決める際には、速度や安定性にも注目する必要があります。LTEルーターを使ってデータをクラウドにアップロードするような場合は、上りの通信速度が必要となりますが、データがセンサーなどから出力されるものであれば、クラウド側からの制御命令を受信する必要もあり、下りの通信速度も必要になります。

しかし、通信速度や通信量が充実しているプランになると、その分費用も高額になるため、通信費が負担になってしまわないように、利用量に適したプランを選ぶようにしましょう。

また、キャリアの異なるSIMを何枚か用意しておくと良いでしょう。LTEルーターの中には複数のSIMカードを挿入できるものがあります。SIMカードを複数用意しておけば、1枚使えない状態になっても、別のSIMカードですぐに対応が可能です。

NoCode IoT/DX Platform『MEEQ(ミーク)』のSIMなら月額143円から利用可能

NoCode IoT/DX Platform『MEEQ(ミーク)』は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手キャリアに対応しており、月額税込143円から利用できます。

回線の開始から決済、各回線の通信状況の監視までを一画面で管理できるコンソール画面も準備されております。
MEEQの料金

LTEルーターを活用して快適なネットワーク環境を構築しよう

LTEルーターは、固定回線を引かずともネットワーク環境を構築できるという大きな特徴があります。

使用範囲が狭まらないため、外出先や屋外での使用にも向いています。防犯カメラや農業ハウス内、建設工事現場の監視などを目的に導入を考えている場合は、屋外での使用を想定したLTEルーターを選ぶと良いでしょう。

LTEルーターの導入の際には、利用するSIMカードや契約プランから厳選し、費用に無駄が生じていないかを確認した上で購入を検討するようにしてください。

LTEルーターにもご利用いただけるMEEQ SIMのご案内は下記をご覧ください。
MEEQが選ばれる理由

※こちらの記事は2024年4月25日時点の情報を記載しております。各種の最新情報・詳細情報につきましては専門機関や各メーカーにご確認ください。

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