IoTセンサーとは?種類一覧や活用例、選び方などを詳しく解説
2024.05.01

IoTセンサーを導入すると、遠隔監視や作業の自動化が可能になり、事業の効率化を狙えます。自社のDXを促進させたい企業の担当者の中には、IoTセンサーを導入したIoTシステムの活用を検討している方もいるのではないでしょうか。
本記事では、IoTセンサーの導入を検討している方に向けて、IoTセンサーの基礎知識や種類ごとの活用法、具体的な選び方を紹介しています。また、測定対象別のIoTセンサーを取り扱っている主なメーカーもまとめました。IoTセンサーの基礎知識を得て、自社の事業の効率化に役立ててください。

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目次
IoTセンサーとは

IoTセンサーの特徴
センサーは対象の状態を電気信号に変換し、データを収集するデバイスです。人体でいう視覚・嗅覚・聴覚のような知覚装置を指します。センサーに、ネットワークへ接続できる機能を付加したものがIoTセンサーです。IoTセンサーを利用すると、離れた場所からでもリアルタイムで操作・制御・監視が可能です。具体的には、工場内機器の遠隔監視・冷蔵庫やビニールハウスの温度制御・施設の入退室管理などに用いられています。
IoTセンサーによって収集されたデータは、スマート工場や農園、子どもや高齢者などの見守りサービスなど、さまざまな分野における品質向上に利用されます。
主なIoTセンサーの種類一覧と活用例

IoTセンサーには用途によって特徴や仕組みが異なります。センサーの種類について、収集したいデータごとに次の表にまとめていますので、あわせて確認してみてください。
対象 | 種類 | 動作原理 | 活用例 |
---|---|---|---|
人・物体 | 人感センサー | 人の熱を感知 | ワークスペースの利用状況の把握 |
温湿度 | 温湿度センサー | 環境の温度・湿度を計測 | ビニールハウスの環境管理 |
圧力 | 圧力センサー | 対象にどれだけ圧力が かかっているかを計測 |
介護現場ベッド転落防止 |
位置 | GPSセンサー | 複数の衛星からの距離を算出 | 工場での従業員の動きを把握 |
距離 | 距離センサー | 対象との距離を計測 | 自動運転での安全制御 |
人感センサー

人感センサーとは、人が近づいた際に体温によって起こる温度差を感知し、電気信号を送ることでセンサーが反応する仕組みを備えたものです。
主に赤外線を利用して温度差を感知するものが一般的ですが、赤外線の他にも、人の音や静電気に反応するものもあります。
IoT化に対応した人感センサーを用いることでワークスペースの利用状況を遠隔で把握することができます。
急激な温度変化のある場所や送風を受ける場所などでは、精度が落ちて誤作動を起こすことがあるので、設置場所には注意しましょう。
温湿度センサー

空間の温度を検知するには、熱電対の仕組みなどを利用します。熱電対とは、異なる2本の金属線で構成されたセンサーのことです。金属線の接続部分に生じる温度差により電位差が生まれることを利用して電圧を発生させ、電圧により電流が流れることでセンサーが反応する仕組みです。
湿度の測定は、動物の毛などの感湿材料が利用され、それらの素材が吸湿・脱湿する際に生じた変化量をもとに検出します。IoT分野の活用例としては、ビニールハウス内や温泉などの遠隔監視などが挙げられます。
温湿度センサーは結露に弱いため、屋外の過酷な環境で使用し続けると、劣化して精度が落ちる原因になります。取り扱いには十分に注意しましょう。
圧力センサー

圧力の検知にはダイヤフラムという測定器が使用されます。ダイヤフラムに圧力が加わるとひずみが生じ、ひずみの量をセンサーが測定する仕組みです。気体や固体がどれだけの力でセンサーに触れているのかを検出でき、家庭では体重計や血圧計などに圧力センサーが利用されています。
気体や固体だけではなく、水圧も測定できるので、IoTを導入した遠隔での水位測定などにも活用されています。
圧力センサーは、直線性(ゼロから最大出力間で生じる理想直線からのズレ)、再現性(加圧・減圧時の出力の差)、ヒステリシス(出力の最大差)などの圧力差によって精度が影響されやすく、考慮が必要です。
位置情報センサー

位置情報センサーは、衛星からの信号を利用して測位を行うGNSS(Global Navigation Satellite System)の方式を採用したものが主です。
GNSS衛星には、QZSS(日本)、GPS(アメリカ)、GLONASS(ロシア)、Galileo(EU)等があります。
例えばGPSは複数の衛星からの信号を受信し、受信するタイミングの違いによって、現在位置を特定する仕組みです。
カーナビや携帯電話などの身近なものにとどまらず、運搬物の位置情報取得や工事現場での重機の管理、車両の運行管理など、広域での位置情報取得・管理に役立てられているセンサーです。
しかし、衛星を介する必要があるため、建設物などにより通信が阻害される場所や、大気の状態などにより、精度が左右されやすいという短所があります。
距離センサー

距離センサーは測定対象物に電磁波を照射し、対象物から戻ってきた電磁波との時間差から距離を換算します。測定に使用される電磁波によって、光学、電波などにさらに分類されます。
また、電磁波だけでなく、超音波を利用した距離センサーも存在します。
障害物の検知に優れているため、自動車の安全制御などで使用されることもあります。
対象物の素材や大きさによっては、光の透過率などから影響を受けるため、精度が左右されるおそれがあります。
IoTセンサーの通信規格
IoTセンサーは、ネットワークに接続することで情報収集や管理を行っており、各センサーをIoT化するためにはデータをアップロードするための無線通信が必要です。
今回ご紹介するIoTセンサーは下記の通信規格に対応しています。
通信規格 | 通信速度 | 通信距離 |
---|---|---|
LTE | 下り最大 :1.7Gbps 上り最大 :131.3Mbps*1 |
~10km |
LTE-M | 下り最大 :300kbps 上り最大 :375kbps*2 |
~10km |
Bluetooth | 最大:2Mbps(BLE) | ~100m |
LoRaWAN | 最大:250kbps | ~20km |
EnOcean | 最大:125kbps | ~200m |
*1 LTEの通信速度についてはこちらを参照しております。
https://www.docomo.ne.jp/area/premium_4g/
*2 LTE-Mの通信速度についてはこちらを参照しております。
https://www.ntt.com/business/lp/iot/lpwa/spec.html
IoTセンサーの選び方

IoTセンサーにはそれぞれ機能や精度の高さに違いがあり、使用する環境に適した精度や運用コスト面のポイントを踏まえて選定を行うことで使用コストをおさえられます。
上記のポイントを踏まえて、選び方を解説します。
使用環境での耐久性
IoTセンサーは精密機械のため使用環境を十分に考慮する必要があります。特に、高温多湿、屋外などの精密機械にとって厳しい環境で使用する場合は注意しましょう。
製品によっては、防水・防塵対策が施されているものや、高温への耐久テストにクリアしたものもあります。屋外へ設置予定の場合は動作温度なども確認しておきましょう。
しかし、どんなに注意して使用していても、精密機器には寿命がつきものです。IoTセンサーの購入時には、使用中のメンテナンスや故障時におけるサービスを受けられるのかについても確かめておきましょう。
センサー精度の高さ
センサーの精度が低いと収集したデータなどの信憑性が薄れてしまいます。センサー精度の高さもIoTセンサーを選ぶ上で重要です。
例えば、温度センサーの場合、感知できる温度が小数点第1位までのもの、あるいは小数点第2位まで測定できるものがあります。どの程度詳細な測定を必要とするかも決めておきましょう。
また、元々センサーの開発をしていたメーカーなら精度の高さが信頼できるでしょう。採用実績が少ない新しいセンサーの場合は、精度がまだ確立されていない可能性があります。精度によって値段も異なるため、値段と性能の両方を見比べてバランスの良いものを選ぶようにしましょう。
全体のコスト
IoTセンサーを利用する際に発生するコストを抑えるためには、使用目的を明確にしてIoTセンサー本体価格とは別にかかる電気代や通信費などのインフラ系の費用も併せて検討をする事が重要になります。
- 採用するIoTセンサーが使用目的に対して最適な製品か?
- 電気代や通信費など長期的にかかってくるインフラコストはどの程度になるのか?
- 管理費や運用費なども別途必要になってくるのか?
などが検討のポイントになるでしょう。
採用時だけでなく、運用開始後の視点でも必要となる費用を全体的に把握しておきましょう。

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【対象別】IoTセンサーメーカー例

IoTセンサーに特化して製造を行うメーカーが多く存在します。メーカーによっても機能や効果が異なるため、製品やサービスの特徴を比較して選ぶようにしましょう。
人・物体
WebiotというIoTセンサーを扱うピクスー株式会社では、標準タイプとミニタイプの人感センサーを販売しています。標準タイプとはいえ、手のひらサイズなので、室内などの狭い空間でも使用が可能です。ミニタイプは設置したままの電池交換が可能で、ネジ止め用の穴があるため、恒久設置できるようになっています。
無線通信機器の開発から販売までを行っているアイテック株式会社は、電池交換の必要がないワイヤレスの人感センサーを発売しています。カバーできる範囲が150m以上と広範囲の通信エリアに対応しています。広角レンズと長距離レンズのどちらも同包されているので、レンズを替えるだけで検出範囲や距離の調整が可能です。
メーカー名 | ピクスー株式会社 | アイテック株式会社 |
---|---|---|
主な製品 | 人感センサー | ET9-OSW |
動作温度 | 常温 | -10℃〜40℃ |
通信規格 | Bluetooth | EnOcean |
ホームページ | https://webiot.io/ | https://www.itec-corp.co.jp/ |
温湿度
ピクスー株式会社では、上記の人感センサーだけではなく、温湿度センサーもwebiotとして提供しています。
各種設備の温度監視に利用できます。
ワッティー株式会社センサ事業部では、EnOcean通信を中心とした環境モニタリングセンサを開発、製造しております。
電池駆動式CO2センサ(型式:COW-01)は、CO2濃度、温度、湿度の3点を測定し、無線で発信。室内の二酸化炭素濃度を測定し換気を促します。
株式会社アイエスエイは、IoT環境センシングシステムなどの製品開発/製造/販売(インテグレーション含む)/保守を行っています。
LoRa無線方式による温湿度計測ユニットと通信制御サーバを組み合わせることでIoT遠隔温湿度監視システムとして利用できます。
温湿度の他、CO2/照度/日射/土壌水分/水位/速度/加速度/DIO等多数のラインナップがあります。
メーカー名 | ピクスー株式会社 | ワッティー株式会社 | アイエスエイ株式会社 |
---|---|---|---|
主な製品 | 温度・湿度・気圧センサー/ 赤外線放射温度センサー |
CO2センサ(型式:COW-01) | WD100-TH+ WD100-S32 |
動作温度 | 0℃〜50℃ | 0℃〜+51℃ | 温度:-40℃~+120℃ 湿度:0~99.9%RH (結露なきこと) |
通信規格 | Bluetooth | EnOcean | プライベートLoRa/LTE |
ホームページ | https://webiot.io/ | https://watty.co.jp/ | https://isa-j.co.jp/ |
圧力
横河電機株式会社は、環境に配慮した製品の販売やソリューションサービスを展開している企業です。横河電機株式会社の無線圧力センサは、気体と液体のゲージ圧を測定できます。また通信距離も10km以上と広範囲です。また、防爆認証を取得しているので、石油化学プラントや薬品工場など、可燃性ガスを取り扱う危険な場所にも設置可能です。
計測機器メーカーのエンドレスハウザー ジャパン株式会社は、アプリでのリモート操作が可能な圧力伝送器を販売しています。暗号化されたBluetooth通信を介してモバイル機器で状態確認や機器操作が可能です。危険場所への設置や高温、高圧プロセスでの使用にも対応しています。
メーカー名 | 横河電機株式会社 | エンドレスハウザー ジャパン株式会社 |
---|---|---|
主な製品 | 無線圧力センサ | Cerabar PMP71B |
動作温度 | -40℃〜85℃ | -60℃〜80℃(周囲温度) |
通信規格 | LoRaWAN | Bluetooth |
ホームページ | https://www.yokogawa.co.jp/ | https://www.jp.endress.com/ja |
位置情報
株式会社ネクスは、モバイルインターネットデバイスとM2Mモジュールを中心とした通信機器の開発、販売、保守サービスなどを提供しています。
「GX700NC」は、OBD IIコネクタに接続してモニタリング・ドライバの安全・保護などに利用できるLTE通信ユニットです。脱炭素やEV車両の普及などによって、今後ますます活発化するテレマティクスサービス関連のデータ収集を行うことができます。
Lantronix Inc.(ラントロニクス)は、モデム、ルータ、GPSトラッカー等を取り扱っている米国 カリフォルニア州アーバイン市に本社を置くメーカーです。
BOLERO40シリーズは、小型、防塵防水(IP68)、内蔵アンテナ、CANインターフェースを持つオートモーティブグレイドのGPSトラッカーです。
メーカー名 | 株式会社ネクス | Lantronix Inc. |
---|---|---|
主な製品 | GX700NC | BOLERO40シリーズ「B43H207S」 |
動作温度 | -10℃~+55℃ | -40℃~85℃ |
通信規格 | LTE | LTE-M |
ホームページ | https://www.ncxx.co.jp/ | https://www.lantronix.com/ products-class/bolero40-series/ |
距離
レンジャーシステムズ株式会社は、IoT実現のためのデバイスやアプリケーションの開発を行っている企業です。ToFというコストパフォーマンスの高い技術を用いて、赤外線を利用した距離センサーを発売しています。防水・防塵対応している他に、1~3cmほどの誤差で距離を測定できる精度の高さを誇っています。
ピクスー株式会社でも、光を利用した距離センサーを販売しています。1分間隔での測定が可能で、4mの距離まで対応します。超音波を利用した距離センサーでは測れない対象物との距離も測定でき、駐車場やゴミ箱の空き状況の検知などに用いることが可能です。月額制のサービスなので、一月当たり500円で利用できます。
メーカー名 | レンジャーシステムズ株式会社 | ピクスー株式会社 |
---|---|---|
主な製品 | iBS03R | ウェビオToFセンサー |
動作温度 | -20℃〜70℃ | 常温 |
通信規格 | BLE | BLE |
ホームページ | https://ranger-systems.co.jp/ | https://webiot.io/docs/sensors/tof/ |
IoTセンサー導入時のコストをおさえる方法

loTセンサーを導入するにあたり、コストをおさえる方法を紹介します。主に次の2つの手段が挙げられます。
- 複数社のIoTセンサーを比較して決める
- 国や自治体が実施している補助金を利用する
まずは候補として複数社のIoTセンサーを選び、価格と求める機能や精度のバランスを比較していきましょう。1社から選ぶよりも比較することで、価格をおさえられるだけでなくニーズにあったIoTセンサーが見つかるはずです。
また最近では、エネルギー使用量を削減するために、IoTセンサーを使用した輸送の効率化を支援する補助金制度が国によって新設されています。発荷・着荷主や輸送事業者など、サプライチェーンに携わる方を対象に公募をかけているため、対象になるものがないか探してみましょう。
各自治体によっても、IoTセンサーの導入を支援する制度が設けられています。東京都北区を例にあげると、区内で一年以上事業を営んでいる個人事業者や企業を対象にしており、対象費用の3分2、あるいは最大で100万円までが補助金額として設定されています。
※参考:IT・IoT導入チャレンジ支援事業|東京都北区
補助対象となる費用の種類も豊富なので、それぞれの自治体の補助内容を確認してみてください。
IoTシステム導入により得られるようになったデータを人工知能(AI)でより有効に活用

IoTシステムにデータ分析などを行う人工知能(AI)を導入することで、IoTセンサーにより吸い上げたデータをより有効に活用することができます。
人工知能(AI)とIoTシステムを組み合わせた活用例としては下記のようなものが挙げられます。
- 顔認証による機密性の高いエリアや現場での入退場管理
- ビル内に配置したセンサーをもとにした照明や空調の調節
- 人の動きを感知したエレベーターの優先割り付け
- 顧客からの音声での質問を分析、自動的に回答
- 光学検査(オプティカル・インスペクション)により、対象物の部品の有無や欠陥を自動検知
ミークでも、「MEEQ AI」というAIとIoTを掛け合わせたサービスを提供しています。NoCode IoT/DX Platform『MEEQ(ミーク)』と連携して使用するデータ処理SaaSのことです。IoTデバイスからアップロードされるデータを、人工知能(AI)により処理して業務の自動化を実現します。
また他にも、IoT通信用の回線「MEEQ SIM」、IoTデータ収集・処理サービス「MEEQデータプラットフォーム」といったサービスも提供しているため、事業を展開する上で必要な際は、ぜひご用命ください。
用途や費用を踏まえて、適切なIoTセンサーを選択することが重要

IoTセンサーは目的や場面に応じた使い分けが必要です。導入に際して目的を明確化し、測定対象に適したものを選びましょう。複数社の商品を比較した上で、あらかじめ長期的なコストを試算しておくと、費用の面でも失敗するリスクをおさえられます。
条件によっては補助金を活用できる場合があるので、国や自治体が提供している情報を確認してみましょう。
IoTの活用で事業の効率化や生産性の向上は十分に見込めます。中長期的にかかるコストや導入するデメリットについてもしっかり吟味して、賢く活用するようにしましょう。
IoT化推進に向けお困りのことがあればぜひMEEQにご相談ください。
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※こちらの記事は2024年5月1日時点の情報を記載しております。各種の最新情報・詳細情報につきましては専門機関や各メーカーにご確認ください。

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