コラム

遠隔監視カメラとは?機能や種類、活用方法などを解説

2024.09.18

ネットワーク

監視・防犯システムに遠隔監視カメラを使用する企業が増えています。遠隔監視カメラは、セキュリティや利便性など、さまざまな面でのメリットを持つカメラです。
遠隔監視カメラを有効活用するためには、製品の選定が重要です。本記事では、遠隔監視カメラの選び方や導入するメリットを解説します。さらに遠隔監視カメラのメーカー例や活用事例も紹介します。

遠隔監視カメラとは

MVNEとは

まず、遠隔監視カメラの特徴や機能を解説します。

遠隔監視カメラの特徴

遠隔監視カメラは、ネットワークカメラの一種で、インターネットに接続することで遠隔で撮影データを確認できるようにしたカメラのことで、「ネットワークカメラ」とも呼ばれます。撮影した映像をパソコンやスマホなどの端末からインターネット回線を介してリアルタイムで見られるのが大きな特徴です。インターネットさえつながれば、どこからでもアクセスが可能です。

また、カメラにIPアドレスを割り当てられるため、IPカメラと言われることもあります。カメラからサーバーへ一方的にデータをアップロードする場合は例外ですが、監視システムなどからカメラにアクセスする場合はグローバル固定IPアドレスをカメラごとに付与したり、閉域網のなかでプライベートIPアドレスを付与したりする必要があります。

インターネットを介して、端末から遠隔監視カメラの向きやズームなどを操作できる製品もあります。カメラに動作機能が備わっていれば、外出先からリアルタイムで映像や録画データの確認をしつつ、外出先から遠隔監視カメラを操作することも可能です。

遠隔監視カメラの機能

遠隔監視カメラは、カメラで撮影した映像をパソコンやスマホなどの端末からインターネット回線を介して見ることができます。クラウドに映像のデータを保存するような連携も可能です。

遠隔監視カメラのなかには、動体検知や通過検知、侵入検知など人やものの動きを検知する機能が備わっている製品もあります。超高感度レンズが使用されているものは暗視に対応でき、マイク内蔵カメラであれば音量検知も可能です。

遠隔監視カメラの通信方式

遠隔監視カメラには、大きく分けて有線LANを用いるカメラ、無線LANを用いるカメラとモバイル回線を用いるカメラの3種類があります。

遠隔監視カメラの映像データは、NAS(クラウド上のストレージ)やカメラに内蔵されているストレージなどに保存されます。映像データのアップロードや、カメラ内のストレージにアクセスする際に通信が必要になります。

有線LANを用いるカメラ

有線LAN経由で使用するカメラは、LANケーブルでルーターやハブとカメラをつなぎ、インターネット回線に接続します。LANケーブルで接続する遠隔監視カメラのなかには、PoE(Power over Ethernet)機能で、LANケーブルを通して電力供給を受けることができるものもあります。

無線LANを用いるカメラ

無線LANを用いるカメラは、Wi-Fiを利用してインターネット回線に接続します。カメラ専用のネットワーク配線が不要のため、電源を確保すればネットワークに接続できるのがメリットです。

モバイル回線を用いるカメラ

遠隔監視カメラは4G/5Gのようなモバイル回線を利用して通信することもできます。キャリアのモバイル回線を用いるため、固定回線の開通に必要となるようなインターネットの配線工事が不要です。モバイル回線を使用する際は、カメラを接続するルーターかカメラ本体にSIMカードを挿入します。

遠隔監視カメラのメリット

遠隔監視カメラを利用するメリットとして、おもに次のようなものが挙げられます。

複数の拠点や店舗の一括監視

複数の拠点や店舗を一括監視したい場合、遠隔監視カメラが活躍します。ネットワークを介して常に状況を把握できるため、現地に赴く必要がありません。

インシデントへの迅速な対応

常に遠隔でカメラの映像を見ることができるため、トラブル発生時に迅速な対応が可能です。また、カメラ以外の機能を有した遠隔監視カメラもあります。

例えば、通過検知機能を搭載することにより、人数のカウントや侵入検知で不審者の発見などができます。マイクを内蔵したカメラは、音量の大きさを検知することにより、悲鳴や破損などの異常をアラートで知らせることが可能です。

さらにAI(人工知能)が搭載されていると画像・動画の解析ができるため、人物の特定や状況の分析ができます。例えば農業分野において、畜産動物や農場の状況に異常が生じた際にいち早く検知するための仕組みを作ることもできます。

移動コストや人件費の削減

遠隔監視カメラを使用することで、移動コストや人件費の削減を図れます。目視で保守点検を行う際に、長距離移動や複数の拠点を巡回する必要が無いからです。

複数の拠点を持つ会社の管理者や多くの店舗を持つオーナーなどは、遠隔監視カメラの利用でコスト削減と業務の効率化を実現できる可能性があります。

遠隔監視カメラの選び方

通信方式や画素数、フレームレートなどカメラに関わる機能の基礎知識を解説した上で、遠隔監視カメラの選び方を解説します。

通信方式

遠隔監視カメラの通信方式は、大きく分けて有線LANと無線LAN、モバイル回線の3種類です。それぞれの特徴を踏まえて、設置環境に合った通信方式を選びましょう。

有線LAN

LANケーブルで遠隔監視カメラをハブやルーターに接続し、インターネット回線につなぐ方式です。有線LANは無線LANと比較して、通信が安定しており、電波の干渉を受けにくいという特長があります。

一方で、設置の際に配線で手間がかかる場合があるというデメリットもあります。物理的にケーブルで接続するため、通信する機器同士がケーブルの届く範囲に設置されている必要があります。 また、インターネット接続に固定回線(FTTHなど)を用いる場合、さらに回線の敷設工事が必要になる場合もあります。

無線LAN

ルーターやゲートウェイを介してインターネット回線に接続する方式です。遠隔監視カメラ専用のLANケーブルは要りません。配線処理の手間が省けるため、有線と比べて設置が容易なのがメリットです。

ただし、設置場所の環境によってノイズや遅延が発生するリスクがある点には注意が必要です。また、無線LANの一つであるWi-Fiは、電波の干渉を受けやすいという特性があります。 さらに、インターネット接続に固定回線を用いる場合、回線の敷設工事が必要になる場合もあります。

モバイル回線

SIMを利用して、4Gや5Gなどのモバイル回線で接続する方式です。 インターネット接続のために、カメラを設置する拠点に固定回線を敷設する必要がなく、電源を確保すれば通信が可能になる点がモバイル回線の魅力です。

一方で、利用する通信量次第では、有線LANや無線LANで固定回線を用いる場合に比べ通信コストが高くなりやすいというデメリットもあります。 アップロード(上り通信)の容量を多く使うカメラ用途に特化した、「上り特化プラン」のようなプランを利用することで、通信コストを抑えることができる場合があるので、プランの選定が鍵になります。
MEEQ SIM上り特化プラン

通信方式 メリット デメリット
有線LAN ・通信が安定 ・配線設置の手間
・回線の敷設工事が必要な場合がある
無線LAN ・配線処理の手間が省ける ・ノイズや遅延のリスク
・回線の敷設工事が必要な場合がある
モバイル回線 ・固定回線が不要 ・通信量次第で通信コストが高くなりやすい

画素数

画素数の数値が高いほど鮮明な映像になり、ズームしてもクリアな状態で確認できます。HD画質で記録する場合は90万画素以上、4K画質で記録する場合は800万画素以上の遠隔監視カメラを選択しましょう。

ただし、画素数が高くなるとアップロードに必要なデータ通信量が増える点には注意しましょう。また、画素数が高い遠隔監視カメラは、価格も高くなる傾向があります。映像品質とデータ通信量、購入に要するコストなどのバランスを見極めて、カメラを選定しましょう。

フレームレート

フレームレートは、映像の滑らかさを表す値です。1秒間に何枚の静止画を記録するかを示すもので、単位は「fps」を用います。

フレームレートの数値が大きいほどスムーズな再生が可能になりますが、アップロードに必要なデータ通信量は大きくなります。ただし、日本の地上波テレビのフレームレートは30fps(29.97fps)ですが、一般的な防犯カメラとしての使用であれば、5fps程度でも十分に活用可能です。

遠隔監視カメラを選ぶ際は、映像の再生に関してどの程度の滑らかさが必要なのかにも考慮しましょう。

耐久性

屋外に遠隔監視カメラを設置する場合は、防水性や防塵性といった耐久性が重要です。屋外では遠隔監視カメラは太陽光や雨、温度や湿度の変化などの自然環境にさらされます。耐久性が低いものでは、使用環境に耐えられないこともあり得るでしょう。

機器の耐久性はIP規格で判断できます。IP規格は防水性能・防塵性能を示す等級で、IEC(国際電気標準会議)及び、JIS(日本産業規格)で採用されています。左側の数字は0~6の7等級で防塵構造の性能を、右側の数字は0~8の9等級で防水構造の性能を表すものです。

遠隔監視カメラのおすすめ製品・サービス

ここでは遠隔監視カメラのおすすめ製品とサービスをご紹介します。遠隔監視カメラを選定する際の参考にしてください。

株式会社エッチ・エス・ストロング「MORECA」

株式会社エッチ・エス・ストロングは、モバイルIPカメラの販売を行っている企業です。LTE規格のSIMとSDカードを内蔵した遠隔監視カメラ「MORECA」を販売しています。記憶媒体にはSDカードを採用しており、高額な録画機器は不要です。

「MORECA」は携帯電話の4G/LTE回線を使用しているため、ネットワーク工事を行う必要がありません。携帯電話の回線を使用するため、通信プランが重要になりますが、上り特化プランを利用することにより、低コストで快適な通信を実現できます。

また、定額低速プランでも動作可能です。通信データ容量が少ない場合は、定額低速プランも選択肢の一つになります。

主な製品 MORECA
接続方法 LTE
画素数 200万画素
フレームレート 1~10fps(定額低速プラン利用時)
耐久性 IP66
製品ページ https://www.meeq.com/meeq/device/camera.html#item98
LTEは、欧州電気通信標準協会(ETSI)の商標または登録商標です。以下の表でも同様です。

株式会社NSK「D-BOX3+IP-9024MPTZ」

株式会社NSKは、監視カメラなどの家庭向け・業務用セキュリティ機器の開発・生産・販売を行っています。カメラや周辺機器のラインナップが豊富で、幅広い場面に適した製品を取り扱っています。

LTE監視システムの「D-BOX3」と「IP-9024MPTZ」を組み合わせることで、屋外などの固定回線が引けない場所でも回線敷設工事なしで簡単にカメラを設置することができます。
「IP-9024MPTZ」は遠隔操作によりカメラの向き、望遠を変えることもできるモデルです。

赤外線照射距離が20mと、夜間の使用にも対応しており、内蔵マイクによる録音も可能です。 また、IVS(インテリジェントビデオシステム)機能やSMD(スマートモーション検知)機能、顔検出・人数カウント機能も搭載しています。

主な製品 D-BOX3+IP-9024MPTZ
接続方法 LTE(D-BOX3)/PoE(IP-9024MPTZ)
画素数 最大2560 × 1440
フレームレート 1~25/30fps
耐久性 IP65(D-BOX3)/IP66(IP-9024MPTZ)
製品ページ D-BOX3
https://n-sk.jp/product-list/d-box%e2%85%b2
IP-9024MPTZ
https://n-sk.jp/product-list/ip-9024mptz-2

株式会社TTS「TTS-B28LTE」

株式会社TTSはセキュリティ機器や自動販売機関連商品の設計・製造、販売を行っている企業です。マンションのロビーや倉庫内、コインパーキングなどの遠隔監視に適したカメラなどを販売しています。

「TTS-B28LTE」は工事現場用のリモート監視カメラです。電源(100V)を挿しこむだけで、スマートフォン、PCなどから遠隔でリアルタイムの映像確認ができます。
モバイル回線を用いており、固定回線の敷設工事が不要なため、迅速な設置が可能です。
エリア内に境界線を設定することで物体の通過を検知し、侵入検知アラートをメールで送信する機能も搭載しています。

主な製品 TTS-B28LTE
接続方法 LTE
画素数 200万画素
フレームレート 5-10fps
耐久性 IP66
製品ページ https://tts-osaka.co.jp/surveillancecamera/

株式会社日立国際電気「HC-IP9100HD」

株式会社日立国際電気は、無線通信技術、映像監視・画像処理技術をコアとした製品・ソリューションを提供している企業です。映像と無線の技術、それらを融合したシステムの高度化により、安心・安全や環境保全、地球温暖化対策などの社会的課題の解決に向けた“ものづくり”に取り組んでいます。

「HC-IP9100HD」は防水・防塵構造かつ小型・軽量であるため、様々な場所で容易に設置可能です。広角レンズを採用しており広範囲の撮影が可能です。LTEモジュールがカメラ本体に内蔵されており、ドコモ回線を全国で使用可能です。
パーキング、公共防犯、河川監視などの屋外稼働において、5年の連続稼働実績があります。

主な製品 HC-IP9100HD
接続方法 LTE
画素数 1920×1080ほか
フレームレート 最大30fps
耐久性 IP66
製品ページ https://www.hitachi-kokusai.co.jp/products/camera/LTE/index.html

遠隔監視カメラ用途にも最適なMEEQ

遠隔監視カメラによる動画送信は、大容量のデータ通信が必要です。遠隔監視カメラによる動画送信は、大容量のデータ通信が必要です。ダウンロード(下り通信)は小容量ですが、アップロード(上り通信)が大容量通信可能なプランを利用することによって、コストをおさえられます。

ミークが提供する「MEEQ SIM」の「上り特化プラン」は、月間使用基本料が3,740円(税込)です。上り通信の高速月間データ容量100GBで、遠隔監視カメラを低コストで快適に使用できます。
「MEEQ SIM」の「上り特化プラン」

また、MEEQ SIMからアップロードされたデータを収集・処理するためのストレージやデータ連携サービスをご提供する「MEEQ データプラットフォーム」もございますので併せてご検討ください。
「MEEQ データプラットフォーム」

遠隔監視カメラの活用事例

最後に、遠隔監視カメラの活用事例を紹介します。

建設現場の業務支援カメラ「コネクトカメラ」

ピクトグラム株式会社が開発・提供している「コネクトカメラ」は、カメラが1分間隔で撮影した写真を、SIMを利用してクラウド保存し、期間や速度などを自由に調整してタイムラプス再生することで、現場監督の効率化を支援するツールです。

「コネクトカメラ」に最適なSIMを探すうえでクリアすべきだった課題は、大きく分けて4つありました。
通信コストを抑えること、顧客へスピーディーに提供すること、SIMの通信状況を把握すること、遠隔操作やメンテナンスを行えること、この4つを実現する必要があったのです。

MEEQは、一定周期でのアップロードという用途に適した独自プランの作成、最短3営業日でのSIMの着荷、常にSIMの利用状況を確認可能なMEEQコンソールの提供、オプションによるグローバル固定IPアドレスの付与により、4つの課題すべてに対応できました。

活用事例の詳細は下記をご覧ください 画期的なWEBカメラを支えるMEEQのSIMサービス

SIM内蔵の監視カメラ「MORECA」

株式会社エッチ・エス・ストロングが市場投入したモバイルIPカメラ「MORECA」は、SIMとSDカードを内蔵したカメラです。

初期段階の「MORECA」は、SIMカードの通信回線が1キャリア対応のみであることから、通信可能エリアの狭さが課題となっていました。さらにトラブル発生時には迅速な対応が必要なため、双方向の通信に必要なグローバル固定IPアドレスを付与できるSIMの調達を必要としていました。
また、在庫を持つのは負担が大きいため、在庫レスと販売先への短い納期を両立できるSIMを探していたところ、「MEEQ SIM」が候補に挙がりました。

3キャリア対応の「MEEQ SIM」を採用することで、設置エリアと利用シーンを拡大しつつ、グローバル固定IPアドレスの付与により、リモートでのカメラのサポート対応を実現しました。
さらにオンライン上で簡単にSIMを発注でき、納期も従来より短くなったため、在庫レスを実現できました。

活用事例の詳細は下記をご覧ください
SIM内蔵の監視カメラ「MORECA」を支えるMEEQ SIMの力

防犯カメラ導入サービス「WatSecurity」

防犯カメラ専門会社の株式会社ヒロシ電器が提供する「WatSecurity(ワットセキュリティ)」は、防犯カメラ導入をワンストップで済ませるサービスです。

当初は録画映像の確認を現場で行う仕組みでしたが、遠隔地から映像の確認やカメラの操作を行いたいという要望がありました。
また、お客さまからのデータ量に関する問い合わせにより素早く対応したいという課題もありました。

遠隔地からの確認や操作などを実現するため、インターネットへの接続手段として「MEEQ SIM」をご採用いただきました。
マルチキャリア対応の「MEEQ SIM」を使用することにより、1キャリアのみに対応していた頃に比べ、遠隔アクセスが提供できるエリアが拡大しました。
さらには、「MEEQコンソール」でお客さまごとのデータ量などを簡単に確認できるようになり、素早い対応で顧客満足度アップを実現しています。
設定済みの「MEEQ SIM」と機材の設置をお客さま自身にしていただくことで、手離れを良くし、設置工事不要の新たなビジネスモデルの構想にもつながりました。

活用事例の詳細は下記をご覧ください
「WatSecurity」で防犯カメラの設置から運用を一括対応
簡単で使いやすいMEEQは、ビジネス領域の拡大効果も

遠隔監視カメラの種類や選び方を把握して最適な製品を選択しよう

遠隔監視カメラは、撮影した映像を遠距離のパソコンやスマホなどの端末からリアルタイムで見られるのが大きな特徴です。
遠隔監視カメラの導入により、複数拠点の一括監視、迅速なインシデント対応が実現可能で、移動コスト/人件費の削減にもつながります。

遠隔監視カメラは映像データのやり取りを通信で行うため、通信の安定度や速度が重要となります。通信方式、画素数、フレームレート、耐久性を軸に用途にあったカメラを選定しましょう。

また、モバイル回線方式の遠隔監視カメラを採用する場合は料金プランも忘れずに検討しましょう。 一般的に遠隔監視カメラはアップロード(上り通信)でのデータ通信量を多く使います。アップロード(上り通信)の大容量通信に特化したプランを利用することでランニングコストを抑えることが可能になります。
「MEEQ SIM」の「上り特化プラン」

上記でご紹介した製品に関するご質問や、遠隔監視カメラに用いる通信環境などでお困りのことがあればぜひミークまでお問い合わせください。 お問い合わせフォーム

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