コラム

IoTゲートウェイとは?活用例、選び方、おすすめ製品をご紹介

2024.07.29

ネットワーク

IoTゲートウェイは、異なる仕組みを採用するネットワーク同士をつないでIoTシステムを構築するためのデバイスです。
IoTゲートウェイを導入することによって、通信規格の異なる複数のデバイス間でも接続が可能になります。
本記事では、IoTゲートウェイの特徴や活用例のほか、おすすめの製品や選び方も具体的に紹介しています。IoTゲートウェイの導入を検討している方にとって参考となる内容なのでぜひご覧ください。

IoTゲートウェイとは

MVNEとは

IoTゲートウェイは、IoTデバイス、サーバーとともにIoTシステムを構築する要素の一つです。IoTゲートウェイはIoTデバイスとサーバー間を中継する役割を担っています。
※本記事では、IoTセンサーなどの計測・データ収集の役割を担うデバイスをIoTゲートウェイと対比させる形で「IoTデバイス」と呼んでおります。

ゲートウェイとは、異なる仕組みを採用するネットワーク同士をつなぐ出入口のようなものです。よくゲートウェイと混同されやすいものとして、ルーターが挙げられますが、ルーターは、IPアドレスに基づいてデータの通信を行う経路を選択するものであり、ゲートウェイの一種がルーターという分類になります。

メーカーによりさまざまな基準がありますが、本記事では上記の定義に沿って、メーカーがIoT用途に使用できる「ゲートウェイ」として販売しているデバイスを「IoTゲートウェイ」として扱います。

IoTゲートウェイはプロトコルを変換することで、IoTゲートウェイとデバイス間、IoTゲートウェイとサーバ間での通信条件の違いに対応しています。

IoTゲートウェイによってIoTデバイスをIPネットワークに接続することで、データの処理・転送や収集などを可能にしています。逆にサーバー(情報を収集するセンター側)から各IoTデバイスを管理/制御することも可能になります 。

IoTゲートウェイの活用例

IoTゲートウェイ部分の説明だけではイメージがつきにくいので、IoTゲートウェイを用いた事例をご紹介します。

冷蔵庫や冷凍庫などの温度管理

IoT mobile株式会社「温度っち」の通信システム構成図

IoT mobile株式会社の「温度っち」は、子機となる複数のセンサー(IoTデバイス)で取得したデータを親機(IoTゲートウェイ)経由でクラウドに送ることで、遠隔で現場の温度管理を行えるようにするソリューションです。

親機=子機間の通信には消費電力の少ない規格を用いつつ、インターネット接続をLTE回線で行うゲートウェイを親機に採用することで、子機の電池交換や親機の設置工数を最小限に押さえている事例です。

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株式会社セラク「みどりモニタ」の通信システム構成図

株式会社セラクの「みどりクラウド」は、温湿度センサー、日射量センサー、カメラなどから取得したデータをIoTゲートウェイである「みどりボックス」経由でクラウドに送信し、ビニールハウス内の環境や作物の状態をデータ化することで、これまで経験や勘に頼りがちだった農作業の再現性を高め、省力化や収量アップを可能にする農業ITプラットフォームです。

LTE回線を用いたIoTゲートウェイを利用することで、インターネット接続などの専門知識を要する作業に不慣れなユーザーでも簡単に農業IoT・スマート農業を始めることができ、導入のコストや敷居を低く抑えている事例です。

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IoTゲートウェイの接続方法

IoTゲートウェイの接続方法は大きく分けると、IoTデバイス-IoTゲートウェイ間(上図左半分)と、IoTゲートウェイ-インターネット間(上図右半分)の2つがあります。それぞれ、接続は有線もしくは無線で行います。

ここからは有線接続と無線接続、それぞれのメリット・デメリットと規格の例をご紹介します。

有線接続・無線接続のメリット・デメリット

有線接続は電波干渉のリスクがなく、無線接続より安定していると言われています。 一方で、配線の工数や開設工事のコストがかかることや、配線の都合上通信できない範囲が発生してしまう場合があることがデメリットとして挙げられます。

無線接続は有線接続に比べて設置場所の制約が少なく、車などの移動体の通信に向いています。
LTEなどのモバイル回線を利用する場合は、有線回線のような開設工事は不要で、電源のみ確保すればインターネット接続を利用できるため導入時のコストが抑えやすいというメリットもあります。
一方、デメリットは、電波干渉や障害物による電波の遮断などのリスクがあるため、有線接続に比べると不安定な通信になりやすい点が挙げられます。

IoTデバイス-IoTゲートウェイ間の有線接続の例

通信規格 特徴
USB コンピューター等の情報機器に周辺機器を接続するための規格。
汎用性に優れ、さまざまなIoTデバイスが対応している。
Ethernet 「IEEE 802.3」として定められている通信ケーブルをつなぐコネクタ規格の一つ。
LANケーブルなどに広く採用されている。
伝送損失などのリスクに強く、高速かつ長距離伝送が可能。
100/1000Base-Tが広く利用されている。
シリアル接続 一対の信号線上にデータを1ビットずつ時系列で送る規格。
他の規格に比べ電気的にノイズが多い環境に左右されにくい。RS-485やRS-232Cなどが広く用いられている。

IoTデバイス-IoTゲートウェイ間の無線接続の例

通信規格 特徴
Wi-Fi 無線通信の国際標準規格。
無線通信のなかでは比較的高速*1
5GHz帯のWi-Fiは電波法により屋外での使用が制限されているので注意が必要*2
Bluetooth 無線通信の国際標準規格。
LTEやWi-Fiに通信速度では劣るものの、消費電力は比較的少ない*1

*1 採用されているバージョンにより通信速度や通信距離、消費電力が異なります。詳しくは各認証団体の情報をご確認ください。

*2 詳しくは総務省 電利用ホームページ「無線LANの屋外利用について」をご覧ください。

IoTゲートウェイ-インターネット間の有線接続の例

通信規格 特徴
Ethernet 「IEEE 802.3」として定められている通信ケーブルをつなぐコネクタ規格の一つ。
LANケーブルなどに広く採用されている。
伝送損失などのリスクに強く、高速かつ長距離伝送が可能。
インターネット接続時の方式としてはIPoEやPPPoEなどがある。

IoTゲートウェイ-インターネットの無線接続の例

通信規格 特徴
LTE(4G) 3GPPにて定められているモバイルデバイス用の通信規格。
エリアカバレッジが広く(スマートフォンで通信ができるエリアで利用可能)、
動画のアップロードなどの高速通信にも対応可能。
Sigfox フランスのUnaBiz SAS社で開発された、LPWA(Low Power Wide Area)の規格の一つ。
他の無線接続の規格に比べると通信速度は劣る一方、
広範囲を低消費電力で低コストにカバーできるという特長がある。

* LTEとは、モバイル専用の通信規格の一つで、Long Term Evolution(ロングタームエボリューション) の頭文字からLTEと呼ばれています。国際電気通信連合がLTEを4Gと認めたことから、「LTE=4G」として取り扱われ、広く認知されています。

IoTゲートウェイの選び方

IoTゲートウェイの選び方

IoTゲートウェイを選定する際は、通信規格と価格、動作環境に注目しましょう。ここからは、それぞれを詳しく解説していきます。

通信規格

IoTデバイスから取得したデータをアップロードするためには、前述の通り、インターネット-IoTゲートウェイ間と、IoTゲートウェイ-IoTデバイス間の通信が必要なため、その双方についてそれぞれ検討が必要です。
必要な通信速度やIoTデバイスの対応している通信規格だけでなく、電波干渉の対策の必要性、インターネット回線開通にかけられる工数、ランニングコストなどを基準に通信規格を選定をするとよいでしょう。
通信方式を選ぶ際のポイントは下記のダウンロード資料にて詳しく解説しております。

IoT×ビジネスで「できること大全」

価格

IoTゲートウェイは用途に応じて小型のものから産業用まであるため、価格帯は広範囲にわたります。接続可能なIoTデバイスの数や対応している通信規格が少ないタイプ、多機能なハイグレードタイプなどにより価格はさまざまです。IoTゲートウェイを導入する目的や予算と照らし合わせて、最適な製品を選択しましょう。

動作環境

工場、建設現場など極端に温度が低い/高い場所や湿度の低い/高い場所でIoTシステムを導入しようとする場合は特に、その環境に合ったIoTゲートウェイを選定できているか注意しましょう。動作温度や動作湿度としてカタログやwebサイトに表記しているメーカーがほとんどですので、製品の仕様を事前に確かめることをおすすめします。

【比較5選】おすすめのメーカーとIoTゲートウェイ

おすすめのメーカーとIoTゲートウェイの製品を紹介します。メーカーや製品名だけでなく、インターフェースや動作環境などのスペックを表にまとめています。ぜひ、IoTゲートウェイを選定する際の参考にしてください。

サン電子株式会社「LBX8110」

サン電子株式会社の「LBX8110」は、設備・機器との通信やエッジコンピューティング処理などのアプリケーションを本体に組み込むことができる、IoTエッジゲートウェイです。
堅牢で信頼性の高いDebian11を搭載しており、アプリケーションを自由に設計・開発し、LBX本体に搭載することで様々な機器の操作やソリューションを実現できます。

ー20℃から70℃までの動作温度に対応していることに加え、ノイズや振動の試験をクリアしているため、過酷な環境でも安定した稼働が可能です。
また、SIMスロットが2個備わっており、それぞれ異なるキャリアのSIMを挿入することで冗長化(WAN側)が実現します。
これにより通信障害発生時には主回線から副回線に自動切換えができますので回線の通信断を防ぎ、遠隔監視・制御、データ収集など止めることなく運用することができます。
また、OSリカバリ機能搭載や遠隔管理サービス「SunDMS」に対応しているため、より高度な安心・安定運用を実現します。

メーカー名 サン電子株式会社
製品名 LBX8110
有線インターフェース 1000BASE-T、100BASE-TX、
10BASE-T×2、USB3.0
無線インターフェース LTE
動作環境 動作温度:-20℃~70℃
動作湿度:25%~85% (結露なきこと)
サイズ(幅、奥行き、高さ) 約169×105×42mm
(突起部、取付金具除く)
製品ページ https://www.sun-denshi.co.jp/sc/product_service/edgecomputer/lbx8110/

株式会社ネクス「AIX-01NX」

株式会社ネクスは、モバイルインターネットデバイスとM2Mモジュールを中心とした通信機器の開発、販売、保守サービスなどをご提供しております。

「AIX-01NX」は、高性能なNVIDIA製GPU Jetson Xavier NXを搭載しカメラと組み合わせることで、物体検知・識別・トラッキング・姿勢推定・顔認証・異常検知といったAIモデルを活用できます。
標準搭載されたLTE通信機能を利用し、車両などの移動する設備を使用したインフラメンテナンスや工場での省力化・故障予知、防災目的の監視など、様々なシーンで利用環境を選ばずリアルタイムにAI処理を行うことができ、映像におけるプライバシーも保護できます。

メーカー名 株式会社ネクス
製品名 AIX-01NX
有線インターフェース USB、Ethernet、HDMI
無線インターフェース LTE
動作環境 動作温度:-10~+60℃(風速0.7 m/s時)
動作湿度:10~90%RH(結露なきこと)
サイズ(幅、奥行き、高さ) 85 × 118 × 49.5mm
(アンテナ端子、ネジなどの突起含まず)
製品ページ https://www.ncxx.co.jp/product/aix01nx

株式会社アットマークテクノ「Armadillo-IoTゲートウェイ G4」

株式会社アットマークテクノが提供する組み込みプラットフォーム「Armadillo(アルマジロ)」は、Armプロセッサ・Linux OS搭載の製品シリーズです。ユーザーが自由に設計・開発したアプリケーションを本体に書き込むことで、様々な機器やソリューションを実現できます。

「Armadillo-IoTゲートウェイ G4」は、映像出力機器や産業用PCの置き換えにも最適な高性能IoTゲートウェイです。収集したデータをLTEやWLANを介しクラウドへ安全に送信します。

フルHDサイズ(1080p)のH.264エンコード/デコード機能を搭載しており、動画を記録しながらのAI処理を実行可能です。
ソフトウェアは、IoT機器向けに最適化されたコンテナ型OSを搭載し、コンテナ管理機能、ソフトウェアアップデート(OTA)機能、ネットワークマネージャーを標準で備えています。

メーカー名 株式会社アットマークテクノ
製品名 Armadillo-IoTゲートウェイ G4
有線インターフェース Ethernet、USB3.0、HDMI
無線インターフェース Wi-Fi、Bluetooth、LTE
動作環境 動作温度:-20~60℃
動作湿度:非公表
サイズ(幅、奥行き、高さ) 143×100.5×26mm
製品ページ https://www.meeq.com/meeq/detail.html#item29

株式会社コンテック「CONPROSYS TMシリーズ」

株式会社コンテックの「CONPROSYS TMシリーズ」は、常時監視やテレメトリングシステムに特化した製品です。完全プログラムレスで遠隔監視ソリューションを実現します。

設定から運用まで、すべての操作をWebブラウザから実行可能です。

遠隔監視システムに必要な収集したデータの「Web モニタリング」や「ファイルへの保存」、「イベント監視(メール通報など)」などの機能を標準搭載しており、遠隔監視システムを低コスト、短時間で構築することができます。

メーカー名 株式会社コンテック
製品名 CONPROSYS TM
有線インターフェース Ethernet(RJ45)、Modbus-TCP、RS-232C、RS-422A/485、
デジタルI/O、アナログI/O
無線インターフェース LTE
動作環境 動作温度:-20℃~60℃
動作湿度:10~90%(結露しないこと)
サイズ(幅、奥行き、高さ) 188 × 78 × 30.5mm
製品ページ https://www.contec.com/jp/products-services/daq-control/iiot-conprosys/tm/

Cassia Networks社「E1000」

Cassia Networks社の Bluetooth ゲートウェイは、 Bluetoothを選択する際の課題である「通信可能なデバイスの台数」や「短い通信距離」を解決します。
最大1,000m通信可能で、1台で最大40台のデバイスを制御・管理できます。
動作検証には富士ソフト製USBドングル(+F FS040U)を利用しています。
※ IP66 防塵防水筐体、動作温度範囲:-40-65℃ の 屋外用ゲートウェイ「X2000」もご用意しています。

メーカー名 Cassia Networks社
製品名 E1000
有線インターフェース 10/100 BASE-T Ethernet
無線インターフェース WiFi 2.4GHz & 5GHz、LTE通信
動作環境 屋内用
動作温度:0℃~40℃
動作湿度:0%~95% 結露無き事
サイズ(幅、奥行き、高さ) 164x164x62mm
製品ページ https://esg.teldevice.co.jp/iot/azure/solution/detail_cassiagateway.html

本記事でご紹介しきれなかったIoTゲートウェイ製品を次の記事でご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

※参考:動作確認済みデバイス|NoCode IoT/DX Platform MEEQ

IoTゲートウェイの役割を理解して最適な製品を選ぼう

IoTゲートウェイはIoTデバイスとサーバーを中継する役割をもつ機器です。作業現場の安全管理や冷蔵・冷凍庫の温度管理、作物の生育監視など、さまざまなシステムに活用できます。

IoTゲートウェイを選定する際は、通信規格や費用、動作環境が重要なポイントです。SIMを搭載したIoTゲートウェイであれば、ケーブルやインターネット回線工事が不要で、すぐに利用ができます。

IoTゲートウェイに挿すSIMには、ぜひMEEQをご検討ください。
MEEQ SIMの料金

本記事でご紹介したIoTゲートウェイは、すべて「MEEQ SIM」での動作確認実績があるデバイスです。
動作確認済みデバイス一覧

IoTゲートウェイの導入目的を明確にした上で、複数の製品を比較して選ぶようにしましょう。

※こちらの記事は2024年7月29日時点の情報を記載しております。各種の最新情報・詳細情報につきましては専門機関や各メーカーにご確認ください。

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