IoT市場のキャズムを超える準備はできた。
失敗を恐れずチャレンジを後押しする
組織づくりの追求。
- 代表取締役 執行役員社長
- 峯村 竜太
企業のイノベーションを支え、
産業構造の変化から取り残さない
―ミーク設立の背景について教えてください。
ミークは、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社から、MVNE事業を承継するかたちで、2019年3月に設立されました。従来のスマートフォン向け通信サービスの提供に加えて、IoT向け通信サービスのニーズが急増している中、市場の動向に合わせて事業を自由度高く展開・拡大していくために、事業運営や意思決定のスピード感を高める狙いがあります。
―設立から3年、現在のミークはどのような事業を展開していますか?
テクノロジーが発展したことで、産業領域を問わず、IoTやDXのソリューションで自社事業を効率的に運営したり、イノベーションを起こしたりすることが可能になりました。とはいえ、通信の周辺領域を扱うには専門的な知識が必要なことに加え、事業に活かすには技術的な障壁がまだまだあるのが実情です。
そこでミークでは、テクノロジーを活用したイノベーション創出を目指す企業が、様々なコンポーネントを低価格で気軽に試すことができるNoCode IoT/DX Platform『MEEQ(ミーク)』を開発しました。我々が通信を中心とした技術的な領域を引き受けることで、企業はIoT実現に伴う泥臭い作業に手間をかけず、それぞれの産業領域でやるべき業務に注力していただけるようになります。
主役はあくまでも企業さまであり、その裏側を支えていくのが我々の事業のあり方です。その想いを、「世界を変える、そのイノベーションのそばに。」というVISIONに込めました。MEEQを通じて、ステークホルダーの皆さまと、誰もがIoTやDXが生み出すイノベーションの恩恵を受けられる世界を共創していきたいと考えています。
今やるべきは、IoTの民主化に向けてキャズムを超えること
―企業がIoTに挑戦するハードルはまだまだ高いのでしょうか?
技術力の高い企業は、自社のテクノロジーを駆使してIoTにチャレンジできます。しかし、大多数の企業は、まだチャレンジできていないIoTのアイデアを沢山お持ちだと感じます。そして、その要因の一つは、何からどのようにIoTに取り組めばよいのかが分からないことではないかと思います。まずは、この課題を解決し、IoTの民主化に向けてキャズムを超える必要があると考えています。
インターネットが浸透し、いずれはモノがネットワークに繋がっていくと言われてきましたが、それを実現するには強力なネットワークやクラウドなどが必要であり、簡単に実現できるものではありませんでした。それが現在では、実用に足る技術が開発され、インフラとしての普及を始めたことで、正しく取り組めば誰でもIoTを実現できる環境が整ってきています。つまり、取り組み方さえ理解すれば、高い技術力を持つ企業でなくても、IoTに挑戦できるようになったのです。
―そのような市場環境において、ミークではMEEQを通じ、どのようにIoTの成功事例を生み出していくのでしょうか?
お客様である企業ごとに、その目的に合わせて、MEEQを一度試していただくところから、事業に実装するまでの“1〜100”をしっかりと設計し、コンサルティングすることが重要だと思っています。IoTビジネスはロングテールであり、最初のステップはミニマムでもよいのです。しかし、事業にどう組み込むのかを考えていないと、中途半端なかたちで終わってしまい、顧客のビジネスに貢献できません。
MEEQでは、1枚から通信回線を発注・管理でき、ブラウザベースの操作でコーディングなしでIoTに取り組めます。これによりIoT市場の裾野を拡げていきつつ、より多くの企業がIoTの可能性を感じられるような成功事例を生み出すために、今後、様々な産業における企業との資本業務提携を拡大することも視野に入れ、積極的にアクションを積み重ねていく予定です。
―MEEQは通信回線を強みとしていますが、今後、どのように進化していくのでしょうか?
MEEQにおける通信回線は、1つのコンポーネントに過ぎません。今後、MEEQを通じて取得したデータを活用して新たな価値を生み出したり、その価値を企業さまの顧客に効率的に届けたり、といった、企業さまのニーズに基づく様々な機能を拡充していきます。
これは先に述べたように、各企業さまが本業における“やるべき業務”に、より集中できるようにするためです。求められていることを一つひとつ埋めていくことで、IoTを「試してみる」ことがより簡単になり、より多くの企業がIoTに取り組みやすくなると考えています。なお、機能の拡充をはじめとしたエンジニアサイドの戦略については、CTO・小早川知昭のインタビューをご覧ください。
新たなチャレンジを評価し、社員も会社も急成長する組織
―ミークはまだ新しい会社ですが、峯村さんはどのような組織にしようと考えていますか?
新しい会社である分、成長スピードが速いため、事業の状況に合わせて組織は柔軟に変化しています。ただし、その中で常に重要視しているのが、「いかに社員が成長できる環境を整えていくか?」という点です。社員と会社が一緒に急成長していく環境が理想だと考えています。
その具体策の一つとして、チャレンジすることを評価する制度を整えています。新しいことに挑戦したとして、もし失敗して人事評価が下がるような組織であれば、新たな挑戦なんてしたくないですよね。だから、チャレンジすること自体を評価するようにしているのです。
ちなみに、社内のメンバーと面談をする際、私は「ずっとうちの会社にいる必要はないよ」と話すことがあります。もちろん、長く一緒に働けることはとても嬉しいことですが、もしその人が大きなチャレンジをしたいのであれば、極論、ミークに閉じこもっている必要はないと思っています。ミークでの成長によってその人自身の市場価値が上がり、より大きな活躍ができるなら、それもハッピーなことだと思います。
―この3年間でご入社された社員には、どのような傾向がありますか?
意外かもしれませんが、通信・ITといった業界で働いていた社員が特段多いわけではありません。小売業や金融業で働いていた方など、様々な業界から人が集まり、すでに活躍いただいています。
当初は、ネットワークの知識がないと業務がこなせないのではないか……と思っていたのですが、その不安は杞憂に終わりました。よくよく考えてみれば当たり前の話ですが、我々のお客様は特定業界に偏っているわけではありません。あらゆる産業に関する事業を理解しなければならない、ホリゾンタルなビジネスなのです。
そのため、通信・ITではない業界からご入社いただいた方にとって、それまでの経験が大きな強みになっています。このように、多様な人材が活躍できる点もミークの一つの特長だと思っています。
スキルは後から付いてくる、
大切なのは成長意欲
スキル面は職種によるため割愛します。共通しているのは、強い成長意欲を持っている方です。様々なテクノロジーが加速度的に進化し、市場環境も激しく変化する中、それにあわせて組織・事業が変化します。その変化のスピードを上回って成長していただかないと、どのような職種であっても、十分なパフォーマンスを発揮できません。
具体的に何を「成長」させるのかと言えば、特に、スピード感、実行力、主体性、柔軟性です。これに加え、先ほどから話している通り、チャレンジ精神も重要です。というのも、ミークを取り巻く市場はこれからどんどん拡大していきます。つまり、新たな挑戦ができるチャンスが山ほどあるのです。
振り返れば、MVNE事業からMEEQにチャレンジしたのが、ちょうど3年前になります。きっと、今から3年後には次の新しい事業にチャレンジしているはずです。その事業のアイデアを発案し、実現に向けてやるべきことを、スピード感を持って、主体性に実行していく。そのような働き方を求めている方には、ミークはぴったりだと思います。
―峯村さんがこうした点を重視するのは、自身の経験によるものでしょうか?
私はこれまで、変化が激しい「新規事業開発」の現場に身を置き、揉まれ続けてきました。モチベーションがあろうが無かろうが、必ず結果を出さなければならない仕事です。
誰だって人間なので、元気な時も、そうではない時もありますよね。それなのに、「そうではない時」にもどうにかして結果を出さなければいけない。どうしたらよいのか。私の答えは、仕事においては「やりたいことか?」ではなく「やるべきことだと思うか?」で判断をすることです。モチベーションに囚われずに、勝率の高い意思決定をすることを心がけています。
ミークを取り巻く市場環境は、急拡大しながら物凄い速さで変化しており、事業を成功させるためには、変化を先読みしてチャンスを掴む必要があります。いつまでもウィンドウが開いているとは限らず、タイムリーに実行しなければ、みすみすチャンスを見逃すことになるのです。そこには、自分のモチベーションなんて関係ありません。「もう少し元気になってから挑戦しよう」と思っていたら、もうウィンドウが閉じているのが現実です。
もちろん、自分ひとりでできることには限界があります。私は、もともと特別なスキルや才能があったわけではありません。厳しい環境で揉まれて成長し、仲間も増えたことで、現在はミークで新たな事業にチャレンジすることができています。
成長意欲を持ち、チャレンジを恐れなければ、スキルは後から付いてくるものです。ミークで働く中でも苦しい時があると思いますが、その苦しさも楽しさも分かち合いながら、VISIONの実現を一緒に目指したいと思っています。